あわよくば

腐女子でオタクのアニメ語りと日常

ネタメモ10

ザンスク

 スクアーロは甘えることを知らない。優しさを知らない。それは大抵ザンザスの所為だ。ザンザスが愛と言う名の暴力を振るうから、わからなくなってしまった。元々暗殺者には甘えも優しさも要らない。それをわかっていて、ザンザスはスクアーロに辛くあたった。スクアーロは甘えも優しさも知ることはないが、欲していた。ずっと神経を張り詰める仕事で、安らぎが欲しかった。でも、休息場がない。行き場のない辛さを、暗殺にぶつけた。残酷でも、残忍でもなく、ただ――殺した。暗殺でもない――人殺し。それは正しく――「スクアーロ」だった。鮫は、噛み殺した。ゆっくりと、激しく。形容出来ない――人殺し。

 スクアーロは頼まれてもいないのに、暗殺をする。スクアーロが張り切り過ぎると、他の幹部が暇を持て余す。幹部がザンザスに文句を言うと、スクアーロに暴力が飛ぶ。その暴力を発散するために、暗殺に精が出る。悪循環だった。

 そんな折に、スクアーロはへまをした。一般人の目撃者がいた。なんとか密告はせずに、一般人も殺した。それでも、スクアーロにはしこりが残る。一般人に見られた。一般人を殺した。それは――背徳感。関係のない、一般人を殺した。何故だか、スクアーロは震えた。それは罪悪感かそれとも――。

 不思議な感覚に震えながら、スクアーロはヴァリアーに戻った。ザンザスに報告すると、ザンザスは鼻を利かせた。

「一般人を殺したな?」

 流石――ザンザス。スクアーロは首肯した。殴られると思ったが、拳は飛んでこなかった。

「てめえが最近目に余っているのは知っている。一般人を殺しても、ヴァリアーに支障が出なければいい。てめえは、口を割らないだろうからな。まあ、警察もヴァリアーの力でなんとか出来るが」

 ザンザスは、一般人殺しを肯定した。スクアーロは、殺す人間はマフィア関係だと決めていた。破ってしまったら――なにかが崩れてしまいそうで。話はそれだけだった。物が飛んでくる前に、退散した。

 スクアーロは、自室で左手の剣を見た。あらゆる人間の血を吸ってきた剣。今更、戻ることは出来ない。どうしようもない位――汚れてしまったから。

 スクアーロはヴァリアーから出ると、人殺しを始めた。なんとかセーブした。イタリアはにわかに騒いでいる。これ以上騒ぎ立てるのは得策ではない。

 まるで――殺人鬼のようだ。

 スクアーロは、自身を嘲った。血に飢えているようで――酷く滑稽だ。

 ヴァリアーに戻ると、ベルが言った。最近変だよ、と。変なのはわかっている。可笑しいのもわかっている。いつの間にか――こうなっていた。

 性欲にも似た――殺人衝動。実際に抱けば、まぎれるのだろうか。

 そんなことを思えば、ザンザスに呼ばれた。ザンザスは言った。