ネタメモ12
ザンスク
なにも知らなかった。ただ、殺すことしか知らなかった。
学校で一番の暴れ者――スクアーロ。剣捌きでならず者を薙ぎ倒す。思春期の有り余った暴力を発散させるように――暴れた。教師でさえ、目に余る程。
だから知らなかった――本当の、強さに。
毎日暴れているスクアーロに、一人の男が現れた。まだ若き――ザンザス。
「相当暴れているな」
剣を収めたスクアーロに、ザンザスは近付いた。
「あ? 誰だてめえ」
「知らないなら、そのままでいい。ただ――お前の実力が知りたい」
「そんなことなら、お安い御用だ!」
スクアーロはザンザスに回り込むと、剣を振るった。但し、ザンザスはすぐにはやられない。剣を器用に避けると、スクアーロの頭を掴んだ。骨が砕けるような音がした。
「くっ……てめえ!」
「威勢だけはいいな。よし、喜べ。お前をヴァリアーに入れてやる」
「は? てめえ……」
「俺は――ボンゴレの御曹司、ザンザスだ」
「な……、そう言うことは先に言いやがれ! 楽しくなってきたじゃねえか!」
「はっ、それでこそスクアーロ――鮫だな」
思えばあれが初めての出会いだった。それからザンザスの力に惚れて。もっともっと近付きたいと思った。さらなる高みへ。もっと強くなりたい。ザンザスと対等になれる程の――。
スクアーロは微睡んだ。ああ、懐かしい夢を見た。思えばあのときから――ザンザスに惚れていたのだ。
ほんの少しの幸せを噛み締めながら――スクアーロは隣にいるザンザスの温もりを感じた。