ネタメモ13
臨静
臨也は、久し振りに池袋の街に来ていた。池袋は騒々しい。空を舞う自販機に首無しライダー。だが、それが心地いい。新宿とは違う、危うさ。
気配を消している臨也に気付く者は少ない。気付くとすれば――静雄か、ダラーズか。
かつん、と靴音が聞こえた。まるでモーゼのように道を開ける。池袋の住人なら、誰もが知っている――男。
「いーざーやー!」
「あっはは、上手く気配を消していたつもりなのにね。相変わらずシズちゃんは凄いなあ」
「そもそも、目立つ格好をしているてめえが悪い。まあ、御託はここまでだ――!」
静雄が飛び込んでくる。しかし、臨也は避けることはしなかった。
「なっ!?」
「甘いね、シズちゃん」
臨也はにやりと笑うと、静雄にキスをした。
「――!?」
静雄は口をぱくぱくすると、右ストレートのパンチを浴びせた。こんな、公衆面前の前で!
「臨也――!」
「ははっ、照れちゃって。まったく、シズちゃんは可愛いなあ」
言葉が通じない。がっくりする静雄を、トムが慰めた。